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(出典:常陸の国潮来 素鵞熊野神社御鎮座八百年 昭和五十八年八月大祭記念誌 潮来ばやしの由来)
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三丁目の伝承神事芸能の神楽“獅子舞”は、神々を私達の元に招き来臨を願うための態(技・呪術)に発したものと言われています。呪術的な舞踊が元の形の様です。神々ははやされることにより出現されるとする信仰に基づき、はやす技である神楽をもって神を招き神前にて鎮魂、清めを行い神霊を獅子頭に依らしめます。悪霊ははやされることにより退散すると信じられたため、神霊を依らしめた獅子頭(神の仮託した姿と崇める)を舞わして悪霊を祓い、五穀豊穣、疫病退散、息災延命、町内安全を祈願します。
神々は、はやされることにより出現するとは、神楽の初発は日本神話の天乃岩戸の前で舞う(はやす)天鈿女命であり、天鈿女命が舞い、はやすことに寄り再び天照大神が出現する神話によります。この神話が潮来四丁目の山車の飾り物(山車人形)、「天乃岩戸」です。現在の飾り方は、後方の岩の中に天照大神、岩戸の扉に手をかける手力男命、手前に手を高く挙げ踊る天鈿女命、その横に前方を睨む猿田彦命という配置になっています。天鈿女命は現在、「おかめさん」とも呼ばれています。
獅子舞は一頭二人立ちの型です。これは頭と前脚を担当する者と尻尾と後脚を担当する者と2人で獅子一頭を形作る型です。舞は素鵞熊野神社拝殿と御仮殿前広場で行なわれます。その後獅子頭は三丁目の山車に乗せて猿田彦命とともに町内安全と町内の清め祓いを行います。
獅子は、古代の日本人にとっては想像上の動物であり、最強の動物との伝聞的な認識と仏教浄土の守護獣として悪霊を祓う霊獣であるという信仰により比較的早くから日本に入ってきた様です。現在知られている日本最古の獅子頭は、奈良市東大寺の正倉院にあります天平(てんぴょう)勝宝(しょうほう)4年(752年)の墨銘に入る獅子頭です。朝鮮半島を経由して渡来したものとされています。
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